社員

新製品開発対談:営業・技術者たちの挑戦― セレクトベース2nd開発物語 ―

建設資材メーカーの技術開発現場では、日々、技術者たちが新たな挑戦を続けている。「より安全な建物を」「より使いやすい製品を」――その想いを実現するため、彼らはどのように課題と向き合い、乗り越えてきたのか。技術開発部のM. M.とS. Y.、ベースパック事業部営業推進部のK. S、そして営業部門のT. Y.。 柱脚部材「セレクトベース2nd」の開発に挑んだ4名が、その道のりを語り合った。この対話から見えてくるのは、革新を生み出す現場の姿。理論と実践、そして顧客の声を融合させ、技術の高みを目指す。それこそが、岡部のものづくりである。

社員

M. M.

技術開発

技術開発部 建築グループ
建築製品開発部 鋼構造開発チーム
シニアチーフエンジニア
2003年入社
工学研究科 建設学専攻修了


社員

S. Y.

技術開発

技術開発部 建築グループ
建築製品開発部 鋼構造開発チーム
主任
2018年入社
工学研究科 建設工学専攻修了


社員

K. S.

ベースパック

ベースパック事業部 営業推進部
係長
2008年入社
工学部 建築学科卒


社員

T. Y.

ベースパック

ベースパック事業部 東部営業一部
2021年入社
生命科学部 環境応用学科


セレクトベース

セレクトベース

セレクトベースとは、地震等による柱脚被害を防ぐ構造機材製品です。小型の建物に使用するベースパックに対し、物流倉庫などの大型建造物等に使用できる製品です。

対談風景
TALK

新たな市場ニーズへの対応

#01
社員

M. M.

私たち岡部は1986年から、鉄骨造の露出柱脚を構成する製品「ベースパック」を展開してきました。保有耐力接合※1というコンセプトを基盤にした製品で、阪神淡路大震災や東日本大震災でも被害が出なかったという実績があり、高い信頼を得ています。 しかし、市場の変化とともに、保有耐力接合以外のニーズも出てきました。特に柱脚ヒンジ※2というコンセプトの市場が拡大してきたため、そこへの参入を決断したのです。

社員

T. Y.

その市場参入の第一歩として2021年に出したのが「セレクトベース」でした。ただ、後発だったこともあり、市場での浸透がなかなか進みません。また、建築業界は新製品の認知に時間がかかる傾向があり、何度も足を運んで説明する必要がありました。

社員

S. Y.

当初、早期市場参入を優先していたため、性能面では改善の余地がありました。でも、それは想定内のことです。むしろ、市場に出して実際の声を聞くことで、次の開発につながるヒントが得られると考えました。こうして生まれた改良品が「セレクトベース2nd」です。

※1 保有耐力接合とは簡単に言うと、柱よりも強い強度の柱脚を作ることです。柱の耐力よりも1.3倍以上強い柱脚を設計しています。
※2 柱脚ヒンジとは、建物用途、規模に応じて柱脚を選択する工法のことです。柱の厚肉化、高強度化により従来の保有耐力接合では対応できない柱材が普及したことにより、開発された工法です。

対談風景

現場の声を開発にフィードバック

#02
社員

T. Y.

営業としては、従来品に対して「性能面を改善してほしい」というご要望を多く受けていました。コスト面では競争力があったため、「その価格帯のまま性能を上げてほしい」という声が特に強かったですね。

社員

K. S.

私は、技術開発部と連携し、他社製品から当社のセレクトベースへの切り替えをいただくために、当社製品の技術的課題の再検討を行いました。そのなかで、具体的にどの性能項目がどれだけ足りないのか、実物件での検討データを蓄積し、技術開発部と情報連携を行ってきました。

社員

M. M.

その蓄積データが非常に役立ちました。性能を見直す際の前提条件を設定する上で、それまで明確でなかった余計な性能やコストを、実データに基づいてより適正な値に設定できたのです。

対談風景

産学連携による技術的突破

#03
社員

M. M.

実際、開発は順調とは言えず、苦労も絶えませんでした。大きな転機になったのは、某国立大学の教授との出会いです。それまで私たちは柱脚という部材としての性能ばかりに目を向けていました。しかし教授から「建物全体としてどうなのか」という視点を示していただいて、考え方が大きく変わりました。

社員

S. Y.

教授のご協力で建物全体の解析手法を確立することができました。また、教授から教わった内容をただ理解するだけでなく、自分たちの言葉で説明できるようになることが重要です。審査機関への説明など、さまざまな場面で求められるスキルが身についたと感じています。

社員

M. M.

また、開発にあたっては、ミーティングを月2回のペースで実施。役職に関係なく、みんなが自由に意見を出し合える雰囲気を大切にしました。時には技術開発部長も加わって、さまざまな角度から議論を重ねました。

社員

S. Y.

開発においては、定期的なコミュニケーションが重要です。開発側だけが突っ走るのではなく、こまめに営業側と情報共有することで、方向性のズレを防ぐように心がけました。

対談風景

次なる挑戦へ向けて

#04
社員

M. M.

今回の開発で他社に追いついた部分もありますが、次は追い越していかなければなりません。ただ、何をどう追い越すべきか。それは営業を通じてユーザーの声をしっかり吸い上げる必要があります。

社員

K. S.

岡部の強みは、常に向上心を持って、より良い製品を開発していく姿勢だと思います。セレクトベースは新製品として一から作り上げ、そして進化させてきました。その成長過程を間近で見られたことで、改めて岡部の向上心を実感しています。

社員

S. Y.

今回の2nd開発で得た知見は、他の開発テーマにも活かせると考えています。また、他部門との連携がスムーズにできる社風も、当社の大きな強みです。一人で抱え込むのではなく、みんなで力を合わせて進んでいける。そんな環境があることを誇りに思います。

対談風景
#05

チャレンジを支える岡部の企業文化

M.M.は新製品の審査において重要な岐路に直面した経験を持つ。従来の部材単体での性能評価という枠組みでは要求される性能の証明が困難な状況に陥ったものの、長年培ってきた学術界とのネットワークが突破口となった。某国立大学の教授から提示された建物全体の性能という新たな評価軸により、プロジェクトは大きな進展を見せた。

S.Y.らは、この過程で教授から得た知見を咀嚼し、自分たちの言葉で表現できるまで議論を重ねた。この取り組みは若手技術者の成長機会ともなり、役職や経験年数に関わらず意見を交わせる風土が、新技術の吸収を促進した。

ベースパック事業部営業推進部のK.S.は、ユーザーの技術的課題に向き合う中で、製品進化の最前線に立ち会える醍醐味を実感している。主力製品の革新に関わることで、技術者としての視野も拡大した。

入社以来、現場でユーザーの声を収集し続けてきたT.Y.の地道な活動は、製品進化の指針となっている。顧客要望を開発に反映し、製品として具現化する過程に携わることが、営業担当者としての充実感につながっている。

30年以上の技術蓄積、部門横断的な自由討議、顧客との強固な信頼関係。これらの要素が有機的に作用し、岡部の技術者たちの挑戦を支え続けている。「セレクトベース2nd」の開発は、こうした企業文化の結実といえる。

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